いらっしゃいませ!
突然家族が病気や怪我をして介助が必要な状況になった場合あなたはどうしますか?
なんの知識もないまま無理やり介助をしようとすると逆に負担がかかったり怪我や病気が悪化する危険性もあります。
介助未経験の方は患者をベッドから起こしたり移動させる時「どう起こしたらいいの?」「どこに触れていいの?」と悩むと思います。
姿勢を安定させて最小限の力で患者を支えたり、動かしたりすることができる介護技術『ボディメカニクス』を知っているとかなり楽に介助を行うことができます。
今回はそんな介護でよく使われる『ボディメカニクス』について紹介していきたいと思います。
もくじ
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ボディメカニクスってなに?

まずは『ボディメカニクス』とはなんなのか軽く説明します。
読んで字の如く「ボディ=体」「メカニクス=機械学」を表していて、人間が体を動かしたり筋肉を使う時の関節の動きはどのように動くかなどを力学的に活用したものです。
簡単に言えば『人間の体の仕組みを利用した技術』です。
このボディメカニクスを理解することで無理なく必要最小限の動き・力で介助ができるので介助する側もされる側も負担がかなり軽減されます。
このボディメカニクスは介護以外の育児や仕事、普段の生活でも役に立つことがあるので知っておいて損はないでしょう!
ボディメカニクスの基本原理を知ろう!
ボディメカニクスには基本となる8つの原理が存在します。この8つの原理を知ることで体に負担なく介助や育児が可能になります。
- 支持基底面積(床面積)を広くとる
- 重心の位置を低くする
- 水平移動で重心の移動をスムーズにする
- 体を密着させて重心を近づける
- てこの原理をつかう
- 対象を小さくまとめる
- 体をねじらない
- 押すのではなく引く
言葉だけではわかりにくいので写真とともに説明していきます。
①支持基底面積(床面積)を広くとる
体を支えるために必要な床面積を「支持基底面積」といいます。
この支持基底面積が広ければ広いほど体は安定します。

簡単に説明すると、足を揃えて立った状態で体を軽く押されると人間は簡単に倒れてしまいますよね?

ですが足を肩幅以上に広げて立つと体を押されても簡単には倒れません。
相撲を想像してみてください。みんな倒れまいと足を大きく広げてますよね?
両足を大きく広げることで安定感がアップするので介護でも安定して介助が可能になります。
⑥で説明しますが介護の場合は逆に介護される側の支持基底面積が狭ければ狭いほど動かしやすくなります。
②重心の位置を低くする

これもまた相撲に例えますが、お相撲さんが足を伸ばした状態で相撲をとっているのをみたことがありますでしょうか?
皆さん足をしっかり広げて腰を低くしてますよね?
重心の位置を下げることでしっかりと体を安定させ、腰への負担を減らすことにもつながります。
③水平移動で重心の移動をスムーズにする
重たい物は持ち上げることで重量がかかり負担がかかります。
ですがなるべく水平に移動することでかかる重量が減り、重たい物でも簡単に動かすことができます。


上に持ち上げるのではなくそのまま横に引きずる感じです。
また、腕などの小さい筋肉だけで重たい物を動かそうとすると腕に集中して負担がかかりますが体全体の大きな筋肉を使って動かすと小さな力で重たい物を動かすことが可能です。
④体を密着させて重心を近づける
運ぶ対象が自分の体から離れていると動かすのにかなりの力が必要です。
子供を抱っこするとき離れた位置から抱っこをするでしょうか?
必ず自分の体に引き寄せてから抱っこしますよね?


それと同じで重たい物を持つ場合は自分の体にしっかり近づけることで体に負担なく移動することが可能です。
また、密着することで安心感が生まれるので介護などでベッドから車椅子への移乗の場合に多く見られます。
⑤てこの原理を使う
軽い力で物を動かす原理として皆さんご存知「てこの原理」があります。
物だけではなく人間も一緒で『支点』『力点』『作用点』の関係を利用すれば無理なく小さい力で大きい人を移動させることが可能です。
⑥対象を小さくまとまる
大きい物は小さくまとめることで動かしやすくなります。


すこし極端かもしれませんが海水浴でよく使われる浮き輪なども空気を入れた状態と空気を抜いた状態では動かしやすさが全然違いますよね?
テントなども持ち運ぶ際は自然とコンパクトにまとめていると思います。
それと同じで人間もなるべくコンパクトにまとめることで動かしやすさが格段と上がります。

⑦体はねじらない

不自然に身体を曲げたりねじると不安定になり、腰痛の原因にもなります。肩と腰を水平に保ち、足の向きや位置に気を付けましょう。
⑧押すのではなく引く


一般的に人間は押す力より引く力の方が強いと言われています。
人を動かす際も押すのではなく引くことで力が分散されず小さい力で動かすことが可能です。
まとめ
- 支持基底面積(床面積)を広くとる
- 重心の位置を低くする
- 水平移動で重心の移動をスムーズにする
- 体を密着させて重心を近づける
- てこの原理をつかう
- 対象を小さくまとめる
- 体をねじらない
- 押すのではなく引く
『ボディメカニクス』を知ることで自分にも相手にも負担なく無理のない介助が行えます。
女性の看護師さんが多い中『ボディメカニクス』の技術を知っていれば力がなくても大きい患者さんを小さい力で動かすことができるので介護をする上で『ボディメカニクス』の技術は必ず身につけておくべきだと思います。
別記事で寝返りを簡単にさせる方法について書いてますがこちらも『ボディメカニクス』と関係があるのでよろしければご覧ください。

また、介護以外でも育児や力仕事、スポーツなどでも活用できるのでぜひ覚えておいてください。
ありがとうございました!またお越しくださいませ!